自転車操業一筋42年

世の中の「意識高い系」トライアスリートについていけない泳ぎがヘタで意志が弱いサラリーマン、永遠の42歳後厄、が初フルマラソン完走後3年でアイアンマン70.3のフィニッシャーに。フルマラソンサブ4達成後の次の目標はOD3時間切りです。

穴守稲荷方面 江戸前穴子

毎年恒例の「なんちゃって箱根駅伝」の時期が近づいてきた。私の働く業界各社対抗で、6時に大手町の読売新聞社前をスタートして芦ノ湖を目指す、という大会。過去15年以上は行われているはず、というのも私も12年連続で出ているから。毎年20チーム以上が参加して、白バイが先導してくれるわけもなく歩道を走ってたすきを箱根まで運んでいく。

 

駅伝を控え、仕事のあと会社の若者と二人で練習する約束をしていた。準備万端、のはずだったのだが、会社に着いてシューズを忘れたことに気がつく。練習中止にしても良かったのだが、しばらく忙しくなるのが分かっていたので神保町でシューズを買って走りに行くことにした。

 

余計な時間が掛かったので7時半過ぎからのスタート。今日の目的地は羽田。羽田空港ではなく、羽田。この辺りは町工場が多いせいか、やたらと銭湯がある。それも風情のある銭湯。そして昭和の銭湯に入ったあとは、江戸前の穴子を食べるというのが今回の趣旨。

 

会社から羽田、というか穴守稲荷まで走ると18kmなのだが、少し遅めの出発ということもあって都営三田線御成門まで行ってからの14km。箱根駅伝1区と同様に御成門から三田、品川まで走ったあと、八ツ山を旧東海道へ。

 

旧東海道は夜8時を過ぎていたこともあって車が走っておらず、ランナーにとっては非常に走りやすい道。しかし北品川の辺りでの飲み屋の多さにはびっくりさせられる。こんなにたくさんの赤提灯がこの密度で集まっていて商売が成り立つのだろうか。そんなに多く人がいると思えないのに。

 

でも歴史のある道だから、夜で視界が限られるとはいえきょろきょろしながら走ると楽しい。青物横丁は地元民は青横、というのだな、とか、立会川は何で立会川って言うんだと思う?とか、二人で無駄話しながら走る。鈴ヶ森刑場の跡を過ぎ、大森海岸には昔進駐軍慰安所があった、とか。一人で走るとつまらなかったり、ペースが落ちてしまったりだが、たまに人と走ると気が紛れていい。大森南の辺りは人通りも少なく、男でも夜道は痺れる。「遺体安置所絶対反対」とでかでかと書かれた看板があって、二人で思わず顔を見合わせた。キロ5分40秒ぐらいのペースで淡々と環八まで走り、本日のランは終了。クールダウンしながら玉の湯を目指す。

 

玉の湯はご覧の通り緋色に塗られた破風の建物。昼間見たらもっと立派に見えることだろう。ガラガラガラ、と引き戸を開けると番台に優に80を越えていると思しきおじいさんが座っている。お風呂セットもください、といってまとめて710円払おうとしたら、相当まごついていたので、見ていてこちらが心配になるぐらい。

f:id:KodomoGinko:20150117172755j:plain

思った以上に先客がいてびっくり。作業服着た人が多いのがやはり土地柄なのだろう。風呂屋が多いのもよく分かる。見た目はめちゃくちゃ昭和の銭湯なのだが、入って驚いたのが銭湯につきものの富士山の絵がないこと。茶色のタイルが貼ってあるだけだった。初めての体験。温度はちょっとだけ熱めだが、東京の銭湯としてはましな方。それ以外は取り立てて特徴のない、クラシックな銭湯だった。久しぶりに飲んだコーヒー牛乳が旨かった。

 

そして玉の湯から歩いて数分のところにある「淀」という居酒屋へ。この食べログの写真見てもらえば分かると思うが、初めて入るには結構勇気が要る。風呂を出たのが9時半過ぎ、店は夜中までやっているとのこと。意を決して引き戸を引くと、奥の小上がりが開いていてそちらに通された。

 

羽田は江戸前、穴子やシャコで有名。キス、ハゼ、メゴチの天ぷら盛り合わせ、穴子の白焼き、ブリの刺身などを注文。のどが渇いているので白角ハイボールをがしがし飲む。お通しで出てきたメカブが酸っぱくて旨い。白角ハイボールは角よりも切れてドライな感じ。これも気に入った。すぐ出てくるものをお願いして出てきたのはハゼの甘露煮で、これは年末釣ってきたのを揚げて甘露煮にしておいたそうだ。天ぷらも外はかりっと、中はほくほくの食感ですぐに胃袋に消えた。2日前に静岡でもかなり有名なうなぎ屋に行ったばかりなのだが、ここの穴子も引けを取らない。白焼き、ふっくらしていて旨すぎる。そして、締めは羽田鍋。

f:id:KodomoGinko:20150117174429j:plain

ご覧の通り醤油ベースの出汁に穴子を入れて鍋にしたもの。これが絶品なのだ。これで一人前1600円。穴子ばっかり食べてても全然飽きない、というか鍋にすると凄く新鮮。男二人で旨い旨い、といいながらものすごい早さで食べ、ハイペースで酒を飲むものだから、女将さんがえらい喜んでくれる。お店が出来て43年。昭和47年からやっているという。超昭和。

腹一杯だーといいながら鍋を食べ終えたのだが、女将さんの「おじやにすると絶品なのよ」という悪魔のささやきを聴いてしまってまた食べる。でもあれを食べて本当に良かった、と思える味。走った後とはいえ、カロリー的にはお釣りが来たかも知れない。

 

男二人で四、五杯飲んでお腹一杯食べて10400円也。東京の懐の深さに驚いた夜だった。


淀 - 穴守稲荷/割烹・小料理 [食べログ]

f:id:KodomoGinko:20150117175144p:plain

 

本日のトレーニング 14.08km 1:20:44 5:44/km 1042kcal