広島を走る
2月末の東京マラソン、3月末のなんちゃって箱根駅伝、4月頭の石垣島トライアスロンとこなすなかでカラダの回復が間に合ってない。左脚の付け根部分の筋肉が全般的に硬くなってしまっていて、骨盤を前傾させる方向で引っ張ってしまっているので腰痛の原因になっているのと、インナーマッスルが張っているので腹圧を高めると神経を圧迫してお尻の筋肉の中が痛い。そして全体的に筋肉中の水分量が足りておらず縮み側はいいけれど伸びるほうの柔軟性が著しく落ちている。そういうわけでトレーニングは少なめにして、回復を優先させている。
そんな中で100㎞マラソンを淡々とキロ5分台で走れるランニングバカの同僚と関西、広島に泊まりで出張に行くことになり、「当然ランニングシューズ持っていって朝走りますよね?」と煽られる。
以前大阪に一泊出張に行ったとき、私はランニングの用意など当然に持って行かなかったのに、その同僚からなぜ何も持ってこなかったのかなじられ、アポイントの間にスポーツ用品店でスニーカーから短パンからTシャツから全部買わされてランニングに付き合わされたという黒歴史が。
前日の夕方まで関西で仕事をこなし、新幹線で移動して広島に着いたのは夜8時前。広島に住む友人が勧めてくれた丸勝酒場、という魚の仕入れに気合が入った居酒屋で白バイ貝や赤貝、岩ガキ、鯛の刺身など瀬戸内海の幸を酒とともに堪能した後、どうしてもお好み焼きが食べたいというランニングバカと一緒にベタにみっちゃんに行ってがっつり満腹かつ酔っぱらってホテルに戻り、地方出張の楽しみである地元のモルトバー訪問を遂げられずに爆睡してしまった。
飲みながら「明日はロビーに7時に集合で、それまでにストレッチ済ませておいてください」というえらく上から目線の具体的な指示をランニングバカからいただく。朝食が6時半からしか始まらず、食べてすぐ走ると確実にお腹を壊すので頼むから7時15分にしてくれ、と懇願させられる始末。
だが心配は無用だった。というのも前日の晩のお好み焼きがあまりにヘビーで、目覚めたら朝食を食べる気が全く起きなかったのと、朝食抜きで走ってもいずれにしろ腹を壊してコンビニに駆け込むことになったからだ。
目覚めて食欲はなかったがコーヒー飲みたくなり、ホテルの近くのコンビニに7時前に行ったらもうランニングバカはロビーで準備万端。あと15分後だよね、と念のため確認したら、じっくりストレッチしたいから早めに来たとのこと。まあ大事なことだけど。
そして短パンと半袖シャツでは少し肌寒い広島の朝を走り始める。左の大殿筋の体幹に近い部分が痛いのでキロ6分ぐらいのジョグペースで、とランニングバカに改めて懇願。
ホテルを出て広島城の天守を見る。天守もお濠も立派。
基町は仁義なき戦いで出てきたなあ、あの頃の東映作品はテレビでノーカットで放映されることは死んでもありえないだろうな、町の固有名詞を挙げて「原爆スラム」とか字幕入れてたし、と思いながら原爆ドームへ。朝早いので人気があまりない。
20万人、そのうちの大多数が文民、が命を落とした非業を戦争を早期終結に導いてさらなる犠牲を防いだから人道に対する罪ではない、と言い切れる国の人はある意味すごい。百万歩ぐらい譲ってその論理を認めたとしても、わずか3日後にもう一発投下したことを正当化することはどう考えても不可能だろう。今の北朝鮮同様、狂信的な国家で何をするかわからない国、とされていたのがよく分かる。記念碑の前で手を合わせて平和資料館の横を元安川に沿って再び走る。
学校の登校時間なので自転車に乗った多くの高校生とすれ違う。いい感じで田舎っぽく、もちろん化粧している女子高生などおらず、東京のすれた高校生とは全く異なる雰囲気。元安川は河原がなく、不法係留されている船もないためとてもすっきりしている。宇品に渡る大きな橋を走っている間に腹痛くなって死にそうになってきたので、コンビニ見つけて駆け込んだら朝の清掃中でしばらくお待ちください、と看板が出ていたので脱力して倒れそうになったが、あまりの緊迫感のオーラが出ていたらしく掃除していた店員のお母さんがどうぞどうぞ、といってトイレを使わせてくれたので、大惨事は免れた。
そこから宇品島まで引き続き走る。初めて来たのでよくわからないが、宇品は倉庫などがたくさんあったところにマンションが建って直近急速に開発が進んだのだろうか。昔宇品の港からフェリーに乗ってどこかに行ったことがある。フェリーターミナルを見ながら宇品島に入り、島の西岸を走ると瀬戸内海が朝の光を受けて光っていた。島の内陸にはうっそうとした森が広がっている。山もあり、海もあっていいところだ。島の南端まで行きたかったのだが、宿に戻る時間が近づいていて、残念ながら途中の砂浜のところで引き返した。広島の中心から大して離れていないのに、こんなに綺麗な海があるなんてすごいと感心。
結局12㎞ちょっと。宇品から広電、というか市電に乗って紙屋町まで帰り、シャワーを浴びて仕事へ向かう。
ランニングバカに煽られて走った広島ランだったが、美しく晴れた朝に広島の街を見て回れて本当にいい体験だった。自分の足で街を見て回ると、街の記憶が匂いとともに脳に刻まれる。宇品から見た朝の瀬戸内海の光景を忘れることはないだろう。
本日のトレーニング 12.16km 1:12:17 5:57/km 926kcal
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