自転車操業一筋42年

世の中の「意識高い系」トライアスリートについていけない泳ぎがヘタで意志が弱いサラリーマン、永遠の42歳後厄、が初フルマラソン完走後3年でアイアンマン70.3のフィニッシャーに。フルマラソンサブ4達成後の次の目標はOD3時間切りです。

立石方面 愛国湯と二毛作

金曜日の仕事の後、会社の後輩と立石をめがけて走る。だいたい12kmぐらい。仕事の後としてはちょうどいい距離だ。良さそうな銭湯を見つけ、そこを目掛けて走る。そして昭和の居酒屋に行く。いつものパターン。

 

何度も言っている気がするが、昭和な飲み屋があるところにはだいたいいい銭湯がある。そしてどちらも、行かないと無くなってしまう。そりゃきょうび、風呂のない家はそんなにない。わざわざ460円払って毎日風呂入ると、風呂代だけで月一人当たり14000円。四人家族だったら相当な負担だ。

 

昭和の居酒屋も、再開発や跡継ぎ不足でなくなるケースも多い。最近神田の「若竹」に行ったら全く昔の面影をなくしていてショックだった。立石の駅前は昭和が終わって26年も経っているのに闇市の色を強く残していると聞いていた。今時戦後の闇市を思い起こさせる場所は少なくなり、その一つだった下北沢も再開発されつつある。吉祥寺や溝の口などはまだまだ健在だが、立石も立派な闇市跡だということで、なくなる前に是非行ってみたいと思っていて今回訪問。

 

7時半過ぎにストレッチを終えて大手町から新常盤橋、浅草橋へ。金曜日なので人出が多く、走りにくい部分もあるが、それも含め街の雰囲気を楽しみながらのラン。皇居ランなどでは新品のランニングウェア着た人たちは目を三角にして通行人をかわして走っていたりするが、われわれはまったりランニング系なので気にしない。

 

翌日の昼前から海外出張なので、クタクタになって飛行機の中で爆睡できれば美しい、と思っていたら、金曜日なのに意外とカラダが軽くて疲れる気がしない。最近の課題は右脚の動かし方。なぜか右脚だけ体幹の 連動していないような気がずっとするのだ。ストレッチしてもらうと、「脚の外側の筋肉がパンパンで、内側の筋肉使えていませんよ」と指摘される。確かにO脚気味。スイムのレッスンでも腕の内旋を意識するように、と言われている。脚も太腿の内側の筋肉を使い、脚の親指から踵のラインに体重乗っけて若干内股気味に走る方が腹筋使えているイメージがある。そしてそうして走る方が楽なのだ。でも気がつくといつもと同じ走り方になってしまっている。ただ漫然と走っても練習にならないので、自分のカラダの状態を感知するセンサーをより高感度にしようと意識するようにしている。

 

スカイツリー、やっぱり近くで見ると迫力ある。こんな巨大な構造物が東京の地面に突き刺さっているということに圧倒される。センスのないライティングだったりすると東京を貶める巨大なオブジェ、ということになってしまうわけなので、さぞプレッシャーの掛かる仕事だったことだろう。

 

光で陰を表現する、スカイツリーのライティングは大好きだ。東京タワーとは好対照だが、決して東京タワーも嫌いな訳ではない。海外から帰ってきてあれを見ると、心の底からホッとする。世界の都市の中では東京が一番好きだ。日本人は東京の良さがわかっていないのではないか、と思うときがあるぐらいだ。

 

スカイツリーよりも北側に来るとぐっと人が少なくなる。道沿いに赤提灯と焼肉屋が増え、工業地帯の匂いがする。道は通行量が少ないので空気は悪くない。そして荒川を越えてしばらく走ると、四ツ木に到着。12kmってすぐだな。

 

愛国湯、という銭湯があるはずなのだが、グーグルマップで出てこない。仕方がないので立石駅前にあるというスーパー銭湯を目指してクールダウンを兼ねて歩く。せっかく葛飾区まで来て古風な銭湯に入れないってのは冴えない、が、汗が冷えて風邪ひいても仕方ないから諦めよう、と思っていたら目の前に愛国湯発見。

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これまた渋い店構え。下駄箱周りが綺麗に掃除されている銭湯はハズレがないのだが、ここはバッチリで期待が高まる。ガラガラと引き戸を開けると、こざっぱりとしたお母さんがカウンターに座っていた。今日は9時過ぎに閉めるからね、はい分かりましたそんな長湯しませんので、という会話を交わしお金払って男湯へ。意外と広い。普通は奥の壁沿いに浴槽が並んでいるだけのことが多いが、ここはL字に並んでいるので他の銭湯よりも1.5倍ぐらい大きい。でも先客は2人だけ。


珍しいのが壁画で、普通は富士山が描かれているのだが小さな島がいくつもあって橋で結ばれ、送電線の赤い鉄塔が島肌に描かれている、というユニークなもの。松島かな、と思うが島には橋がないはずで、どこを描いたものかわからない。
走った後で体が熱いので、長湯はいつもしない。東京の風呂の割にお湯はあまり熱くなかった。ストレッチをしながら、終わればサクッと退出。ケロヨンの黄色いタライ片付けて風呂上がる。

 

着替えてカウンターのお母さんとちょっと話す。あのお風呂の絵はどこの絵ですか?ああ、あれはうちの死んだお父さんの実家の石川県のどこかなのよ。富士山じゃないって珍しいですよね。そうなのよ。ここはどれぐらいになるんですか?今息子がやっていて、三代目。60年ぐらいかな。それじゃ戦後ちょっと後からなんですね。昔からの銭湯もどんどん無くなっていくから、頑張ってください。そうなのよ、この前うちのお湯を焚くバーナーが壊れちゃって、バーナー直せるところが今日本では一つしかなくて。大阪から取り寄せたの。うちは重油で焚いているんだけど、最近はガスが多くて、重油用のバーナーはそんなになくて。ガスだと高いのよね。
そんな話を5分ほど。スーパー銭湯行ってたら聞けなかった話が聞けた。やっぱりこういう会話はいいわ。下町ならでは。

 

そして居酒屋の聖地、らしい、立石駅前へ。踏切渡ると、目の前にもう典型的な闇市の名残の商店街が。いい感じでくたびれていてちょっとときめく。ちょっと入ったところにおでん屋の二毛作が。でも満席。透明のビニールのカーテンを風除けに、カウンターとテーブルでお客さんが肩寄せ合って楽しそうに飲んでいる。季節的にはやはりもつ焼きよりおでん食べたい、と思いながら別の店を物色。9時過ぎているので閉まっている店が多い。夕方来たら賑わっているのだろうな。火が出たら5分で全焼しそうなバラックみたいな商店街を見て回る。そして二毛作に戻るとちょうど席が空いたので、2人の体を狭い隙間に押し込む。

 

お品書き見ると、ちょっと意外感が。というのもワインもしっかり種類があるし、ウイスキーもそこそこ充実。そして手間がかかりそうなメニュー、例えば焼きホッキ貝、とか産地を選べる牡蠣とか。店を切り盛りしているのも若いお兄さん。隣のおでん屋からおでん持ってきてくれる。ランの後、おでんが体に沁みる。やっぱり真っ当に仕事している食べ物屋さんはいいなあ、と思って再訪を誓う。

 

結局終わってみれば11時過ぎ。京成線で押上出て、半蔵門線乗って会社に戻り、出張の準備の続きをしていたら電車なんか全くない時間になってしまった。でも今回も楽しかったぜ下町ラン。また行くぜ立石覚えてろよ(って何を?)。

 

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11.92km / 58:08 / 4.93min/km


おでん二毛作 (にもうさく) - 京成立石/おでん [食べログ]