自転車操業一筋42年

世の中の「意識高い系」トライアスリートについていけない泳ぎがヘタで意志が弱いサラリーマン、永遠の42歳後厄、が初フルマラソン完走後3年でアイアンマン70.3のフィニッシャーに。フルマラソンサブ4達成後の次の目標はOD3時間切りです。

石垣島トライアスロン2015に行ってきたでござるの巻 その2

最近自分のランニングウェアを着ると、普段着ている服ではしない柔軟剤のいい香りがするので心の中で嫁にありがとう!と感謝していたのだが、よくよく考えると私のランニングウェアだけ他のものと隔離されて洗濯されていた疑惑、が私の中で急激に高まりショックを隠しきれず嫁を呼んで小一時間ほど問い詰めたいと思うが出来ない今日この頃ですが、皆様におかれましてはいかがお過ごしでしょうか。

 

今ひとつ熟睡できた感じがないままに目覚めて窓を開けて外を見ると、ありがたいことに雨は降っていない。だが強風で電線がうなり、木の枝が大きく揺れている。このままで行くと通常開催かな、と考えながら食欲のないままに胃にカロリーメイトといなり寿司を詰め込み、足がつらないためのマグネシウムの入ったサプリメントを飲む。予定通りに開催されるのだろうな、と思うと嬉しい反面、睡眠不足を自覚して「おれこのコンディションで泳いで大丈夫かな」と若干の不安がよぎる。大体この不安と期待感のないまぜになった不思議な気分のまま、すべてを忘れて海に向かってゆっくりと歩を進めていく、というのが私の典型的なトライアスロンのスタートのシーンだ。

 

CCDドリンクを作ってボトルケージに装着。勝負用の道具はトランジションバッグに、その他のものはフロントに預かって貰うためリュックサックに。なんだかんだですぐに6時になってしまい、急いでトランジションバッグを背中に担ぎ、自転車にまたがって1kmほど離れたトランジションエリアへ。

 

トランジションエリアに着いてバイクをセットしていると、予想外のアナウンスメントが。「強風のため、スイムは2周回1.5kmのところを1周回750mに短縮、バイクも安全を確保するために50kmから27kmに短縮します」、とのこと。さっきの気持ちの裏返しで、ちょっと残念に思うのと同時に少し安堵する。バイクラックに引っかけたバイクが風で大きく揺れるぐらいの強風。のぼりがバタバタと大きな音を立てる。風に飛ばされないように、スイムの後にウエットスーツやゴーグルを収納するビニール袋の上にバイクシューズや水の入ったペットボトルを置く。ウエットスーツが擦れないよう、またトランジションですぐに脱げるように首の周りと足首に念入りにワセリンを塗る。ウエットスーツ着ると、俄然気合いが入る。トランジションエリア封鎖の7時が近づき、バイクの空気圧その他を最終チェック。ここでスローパンクチャーしていたら洒落にならない。

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 そしてしばらく待つとオープニングセレモニーが始まったのだが、そこでさらなる衝撃的な知らせが。6時半の時点ではスイムとバイクを短縮してレース実施、とアナウンスされていたのだが、何とスイムは中止、バイクは短縮コースを使う、との決定が伝えられる。集まった選手はみな呆然、声にならない溜息を漏らす。

 

雨は降っていないのだが風が強く、万が一スイムで事故が起こったときにマリンレスキューが救助するのに差し支える、というのがスイム中止の理由だとの説明がなされた。一昨年に不幸な出来事があり、昨年は大会がなかったことを考えると、今回再び事故が起これば二度と石垣島トライアスロンが行われなくなる可能性も充分ある、というのはその場にいた選手みんなが理解していたため、本当に残念なのだが文句を言う人は私の周りには誰もいなかった。一番残念なのは、リレーで参加するスイムパートの選手だろう。


石垣島トライアスロンは選手800名弱に対して、ほぼ同数のボランティアスタッフがお手伝いしてくれているイメージ。マラソンではその比率は3〜5対1ぐらいの気がする。だからトライアスリートはボランティアスタッフに支えられているという感覚が非常に強く、運営側に対してのリスペクトと理解が深い、気がする。だからスイム中止になったからといってスタッフに詰め寄ったりする人はほとんどいないのではないか。

 

結局8時前から適当にゼッケン番号に関係なく、10人ずつぐらい並んでバイクスタート。よーいドン、で一斉に競争するのではなく、ネットタイムで順位を競い合う。27kmにコースが短縮されたので、わざわざCCDドリンクの入ったボトルを3つも用意しなくても良かったじゃん、と思いながら待っているうちに、自分のスタートの番がやってきた。

 

係員に誘導されながら一斉スタート。いきなりサザンゲートブリッジを登る坂だが、調子よく重めのギアでもぐいぐい踏んでいく。登り切ったらウエットな路面を全速力で駆け下った後に直角コーナー。間違ってもコーナーでマンホールなどを踏んで落車したりしないよう細心の注意を払う。緩やかな登りでたくさんの自転車を追い抜き、昨日説明会のあった運動公園まで。そこから西に向かって踏んでいく。南風が引き続き強く、時折向かい風になるとバイクが2、3㎞減速する。

 

いつものトライアスロンだと、私のスイムが遅すぎるのでバイクパートでは速い選手からは大きく引き離されて競り合いなど残念ながら出来ないのだが、今回は速い選手とがんがん競い合う展開。いわゆるTTバイクと呼ばれるトライアスロン専用仕様のバイクが後ろから来ると、空力性能がいいせいでブーンという低くて重い音がする。普通のロードレーサーにDHバーをつけただけの私のバイクは、特にこんな風の強い日は明らかに空力性能で不利。上り坂で抜くが、下りと平地では負ける、という展開はなかなか悔しい。でも道具で劣るのを体力でカバーするというのは、ショートではいいかもしれないが次回の常滑のように90㎞バイクで走るとなると結構辛いかもしれない。ゴルフと一緒である程度お金でスコアとタイムを買う、というのはありかも。でも再来週のミドルディスタンス初挑戦を完走してから考えることにする。

風は強いままだが曇り空から陽射しがのぞき、肩と背中をじりじり焼き始める。汗にまみれてきて、DHバーを握る手が滑って怖い。DHバーを持つとドロップハンドルの下を握るよりもおよそ30%程度空気抵抗が減るうえ、サドルに浅く腰掛けることでいわゆる「立ちこぎ」に近い状態でずっとペダルを踏める。だがその格好だとかなり強い前傾姿勢となり、ハンドルに体重がかかって前輪と後輪の重量バランスが8対2ぐらいのイメージ。荒れた路面で前輪の接地が安定しないと転ぶリスクが高まるし、わずかな動きで大きく進行方向が変わるので強風の中では危険が伴う。だが強風の時にこそ空気抵抗を減らしたいわけで、なかなか難しい。

 

島の西側の海岸沿いを走るうちに一昨年の光景がフラッシュバック。やいま村を過ぎた先の鋭角コーナーからの登り坂は前回は踏んでいかれなかったが、今回は時速30㎞台をキープできている。少しは進化しているのだろう。昔は脚の筋肉を中心に使っていた気がするが、最近は腹筋や背筋などの体幹の筋肉を意識しながら走れるようになった。だがいつもよりも明らかにバイクの運動負荷がきつい。なんでだろう、と考えながら走っていたら、ようやく分かった。

 

いつもは苦手のスイムに時間がかかり、バイクでかなり後方からスタートして遅い選手と競り合っていたが、今回はスイムが中止のおかげ(?)で速い選手と競争することになったので、モチベーションが上がって思った以上に頑張れていた、らしい。いつもと違う景色でレースができていることにうれしくなった。ということは、スイムである程度のタイムが出ないと悪循環ですべてのタイムが悪くなるということでもある。トライアスロンは自分で自分のケツをひっぱたいて自律的にモチベーションを保ちながら努力する、という側面が強いが、改めてこのスポーツにおけるモチベーションの維持の大切さを認識した。

 

バイクコースの後半になると、強風がもろに向かい風となる。ドラフティング(前の選手を風よけに使うこと)禁止のレースではあるものの、コースが狭いので実際にはドラフティングしている選手が数多く見受けられた。わたしも吹きすさぶ風の中ドラフティングしたかったが、同じようなスピードで走っている選手がいなくてずっと単独走行。最後の5㎞のアップダウンがきつい。ラスト1.5㎞のところでパンクしてタイヤ交換している人がいたが、修理するよりむしろ自転車かついで裸足で走ったほうがよっぽど早いのでは、と見ていて思った。 


何とかバイク終了。腰の張りと、膝のすぐ上の筋肉が攣りそうな予感を感じながらバイクを降り、バイクを押して小走りにトランジションエリアへ。汗でヘルメットのストラップが気持ち悪く、早く脱ぎたいが、ルールでラックにバイクを掛けないとストラップを外せないのだ。


前日に預けたランニングシューズに履き替える。靴と帽子が私のバイクラックの場所にビニール袋に入って置かれていた。すぐ近くの選手は、預けたはずのシューズが見つからなくて困っていた。審判に相談していたが、どうなったのだろうか。自分でセットしたら自己責任だが、人がセットしたはずのものがセットされていなかったらさすがに切ない。


続く。

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